アパートや民家の駐車場に、ホコリをかぶったままずっと放置されている車があるのを見かけたことがありませんか?放置車両は犯罪に利用されてしまったり、維持費がかかってしまったりと実は所有者は置いておくだけでもデメリットが多いのです。
放置車両も、実はリサイクルすることが出来ます。また、廃車手続きを行うことで、自動車税を支払わなくて済むようになり、保管費用などの維持費を抑えることが出来ます。
廃車って車をスクラップするってこと?
スクラップといっても解体して廃棄処理するだけじゃないんじゃ。実は自動車に使われている鉄は価値があってのう。しかも、日本では乗らないような自動車でも海外では需要があるから、ほこりをかぶったようなボロボロの車でも、買い取りが出来たりするんじゃよ。
廃車がお得なんだね!どうしたら普通乗用車は廃車できるのか、教えて!
そもそも廃車とは?
まずは、基本から行きましょう。ここでいう基本とは、「そもそも廃車とは何か?」ということです。
廃車とは、法律的には車籍の抹消にあたります。最初に、車を登録しますよね?あの登録を抹消するために行なうのが廃車手続きなのです。
廃車手続きのことを正式には、「○○抹消登録」といいます(○○には「永久/一時/輸出」のどれかが入ります)。登録を抹消するための手続きなので、こういう名前になっているのです。
廃車手続きの種類
抹消登録には、「永久抹消登録/一時抹消登録/輸出抹消登録」の3種類があります。
永久抹消登録
実際の例でいうと、車が古くなって乗れなくなり買い手もつかない場合や、事故で損傷がひどく故障個所があるなどの場合、また、新たな法規制に伴い公道走行が出来なくなった車、災害等で行方不明になってしまった、等の場合に行う廃車手続きです。
永久抹消登録の条件として、自動車のスクラップ処理をすべて行い、自動車としての再利用が出来ない状態ということが証明できなければ登録手続きが出来ません。そのため、永久抹消登録が行なわれた車に関しては再登録不可となっています。つまり、あとから思い直して「やっぱり、もう一回乗るわ」なんてことが、不可能だということです。
なお、平成17年の自動車リサイクル法の施行により、永久抹消登録するには、解体報告記録日が必須となったことも、合わせて覚えておきましょう。解体報告記録日と、解体報告番号をあげることが出来る解体処理が可能な業者は、都道府県知事の認可を受けた解体処理施設を保有している業者のみとなっています。また、盗難にあってしまい車両本体が現在手元にないが戻る可能性があるなら、永久抹消登録ではなく次に挙げる一時抹消登録にしておきましょう。災害などにより、車両本体が残っていない場合は解体処理報告番号がなくとも永久抹消登録が可能です。この場合は罹災証明書が必要となります。
一時抹消登録
自動車の使用を一時中断することを登録する手続きになりますので、長期の入院などで、長期間にわたって車に乗れなくなった場合や、海外出張で長期間車を利用する機会がない場合など、一時的に廃車手続きを行なう時に行う時の登録手続きです。
一時抹消登録は、あとで自動車に乗る可能性がある場合にする廃車手続きです。一時抹消登録の場合、その車をあとで中古車として再登録することが可能です。そのため、盗難などで車がなくなった場合や、長期入院・長期出張等で自動車に乗らない場合など、あとで再登録する可能性がある場合に一時抹消登録を行なうのが一般的です。ちなみに、再登録する際には一時抹消登録証明書が必須です。これは、一時抹消登録の際にもらえるものなのですが、一度なくしてしまうと基本的に再発行不可となっています。たとえ一時抹消登録を行なっていても、一時抹消登録証明書をなくしてしまった場合には、盗難車が見つかったり、長期入院から退院しても、再登録はできないということです。せっかく一時抹消登録をしても、これではメリットがありませんので、一時抹消登録された場合には一時抹消登録証明書を大切に保管して下さい。
輸出抹消登録
一時抹消されていない車を輸出する際に必要な登録手続きのことです。運輸支局へ輸出抹消仮登録を申請し仮登録証明書が発行されると、次に税関へ輸出許可申請を行い、輸出許可が出て初めて輸出が可能になります。
普通車の廃車手続きの流れとは
普通車の廃車登録手続きの流れをご紹介します。一時抹消登録手続きと、永久抹消登録手続きでは流れが少し異なります。また、輸出抹消登録は自動車関連の業者以外にはほとんど関係がないものですので、ここでは説明を割愛させていただいて、永久抹消登録と一時抹消登録についてのみ説明していきたいと思います。
一時抹消登録手続きの流れ
step1 必要書類をそろえ、記入する
step2 ナンバープレートを取り外す
step3 運輸支局か自動車検査登録事務所へ
管轄の運輸支局(または自動車検査登録事務所)で行います。運輸支局の受付時間など前もってチェックしておきます。軽自動車とは、行くところが違う点が注意してください。
step4 収入印紙を購入、納付書に貼付
運輸支局で印紙を購入することが出来ます。一時抹消登録ですので印紙が必要です。
step5 ナンバープレートを返納
運輸支局へ持参したナンバープレートを返納し、返納証明書を受け取ります。
step6 印紙を貼った書類を提出
運輸支局で書類が完備していることを確認してもらい申請が受理されると、一時抹消登録証明書を受け取ることが出来ます。
step7 税事務所で自動車税関連の申告をする
一時抹消登録だということを、きちんと伝えてから手続きを行ないましょう。
永久抹消登録手続きの流れ
step1 ナンバープレートを取り外す
step2 解体業者に解体してもらう
自動車リサイクル料金が未払いの場合、車の最終所有者に支払う義務があります。リサイクル料金を支払うと、自動車リサイクル券のA券以外が戻りますので忘れずに受け取っておきましょう。
車の解体を依頼した業者から、解体報告番号と解体報告記録日の連絡があります。この解体報告記録日と解体報告番号がは、運輸支局での手続きに必要なので、しっかり記録しておきましょう。
step3 必要書類をそろえる
step4 運輸支局に行く
管轄の運輸支局へ行って手続きします。軽自動車とは受け付ける陸運局が違いますので、前もって確認しておきます。
step5 ナンバープレートを返納する
ナンバープレートの返納完了を確認し、「確認印」「確認シール」を受け取ります。これらは申請書と一緒に提出することになります。
step6 申請書・必要書類を窓口に提出
自動車を解体しているため、車検が残っている状態で廃車を行った自動車の場合、自動車重量税の還付が受け取れます。自動車重量税の還付申請書が永久抹消登録申請書と合わせになっています。一緒に記入して、提出しておきます。車検残り期間が短く自動車重量税の未使用期間が残り一ヶ月を切っている場合には、還付はありませんので還付申請書は記入しなくても大丈夫です。
step7 登録事項証明書の発行手続き
自賠責をこれから解約する人や、自動車任意保険の「ノンフリート等級」を引き継ぐ人にだけ必要ですので、普通はする必要はありませんが、保険会社や駐車場管理会社へ自動車の抹消登録手続きの完了がしたことを証明する書類を必要とされる場合もありますので、発行してもらい手元に保管しておくと安心でしょう。
廃車手続きが面倒な方へ
上記の方法が普通自動車の廃車手続きの方法となります。思ったより工程が多いと思った方、書類の準備などで不安があるという方は廃車手続きを自分でするのではなく業者へ依頼するのも一つの手段です。
特に廃車買取業者に車の処分と廃車手続きを任せると、廃車を買取してもらえて逆にお金になったり、書類の準備などでサポートがあったりと手間暇を掛けずに廃車できるかもしれません。