凍った路面でのスリップやスピードの出しすぎによるスリップなど、車を運転しているうえで最も怖い状況がスリップではないでしょうか。
車がスリップをするとハンドル操作ができません。
近くに人が歩いていた場合、巻き込んでしまう恐れもあり大変危険です。
そのため車にはスリップ対策としてABSが搭載されています。
ABSとはタイヤロックをさせないための装置であり、誕生したのは1936年です。
日本において車に用いられるようになったのは、1969年であり今では欠かせない装置の一つとなっています。
今回はABSをはじめとする車のスリップ対策についてご紹介していきます。
車のスリップ対策に欠かせないABSとは?
ABSとはアンチロック・ブレーキシステム(Anti-lock Braking System)の略称です。
タイヤロックをさせないための装置であり、はじめは鉄道車両のフラット現象を防止するために開発されました。
その後、航空機などにも用いられ、今では自動車には必ず搭載されるようになっています。
スリップ対策として必要不可欠なABSですが、バイクでは未だに未装着車が多くあります。
しかし近年ではABSを搭載しているバイクの種類も多く、今後はバイクでも必要不可欠な装置となっていくことでしょう。
ではABSとは具体的にどのような機能があるのかご紹介していきます。
ABSの機能とは?
ABSとは車のスリップ対策として使用されており、タイヤをロックさせないシステムです。
タイヤロックという言葉を知っている方は多いと思いますが、タイヤロックとはブレーキ操作によってタイヤが固定し回らなくなってしまう状態を指します。
詳しく説明すると、タイヤと路面の摩擦抵抗よりブレーキとタイヤとの摩擦が勝っている状況で発生します。
つまり各摩擦状況は「タイヤ×路面<タイヤ×ブレーキ」となっており、タイヤはブレーキによって回転が止まっているけど、車自体が止まれないためスリップしてしまうのです。
そのタイヤロックを防止するための装置がABSであり、ABSではブレーキを作動させている油圧を制御しています。
具体的には車の脳であるECUがタイヤロックが発生しそうな前兆を察知し、ABSにブレーキを少し緩めなさいと指示をします。
そうするとABSはブレーキに送っているブレーキフルードを止め、一時的にブレーキを放した状態にしているのです。
ABSのこの動きによって、車の運転手が思いっきりブレーキを踏んだとしてもタイヤロックは起こりません。
昔の車であればABSがまだ搭載されておらず、ブレーキを踏み続けるのではなく複数回に分けブレーキを踏む方法である「ポンピングブレーキ」を行わなければなりませんでした。
しかしABSが普及した現代において、タイヤをロックさせないためのポンピングブレーキは不要です。
つまりABSはこのポンピングブレーキを自動で行い、車のスリップ対策の役割を担っているのです。
ABSの役割は安全に車を停止させること!
先ほどお伝えしたようにABSにはタイヤロックを防止する役割があります。
そして近年ではスリップ対策としてABSの搭載が義務付けられています。
安全に車を停止するためになくてはならないこの装置ですが、ABSはスリップを防止するだけではありません。
車のスリップ対策に加え、ABSを搭載している車の方が未搭載の車より、停車する際の制動距離が短くなるという結果も出ているのです。
人的な操作は人により差があり、均等ではありません。
ブレーキの踏み込みが弱い人、踏み込みが強すぎてスリップしてしまう人、ブレーキ操作がうまい人など人によってブレーキの踏み方が違い、その分制動距離も変わります。
その操作を装置が管理することで、どんな人がブレーキ操作を行っても均等に最短で止まれるようにするための装置がABSだといえるでしょう。
今では車に欠かせないABSですが、ABSが故障したままだと車検に通りませんし、危険なのですぐに修理することが大切です。
冬のスリップ対策にはスタッドレスタイヤが一番!
スリップ対策として採用されているABSですが、路面が凍っていた場合、いくらABSでもスリップしてしまうことがあります。
凍った路面はとても危険で、いくらブレーキ操作が上手な人でもスリップする可能性は十分にあります。
そのような場合、ABSとは違ったスリップ対策が必要になってくるのです。
冬の路面ではスタッドレスタイヤがとても効果的であり、安全なドライブ操作をすればスリップする危険性を大幅に下げることができます。
では冬場の路面状態はどのようになっているのかをご紹介していきましょう。
冬は夏よりもスリップしやすい状態となる
冬には雪が降ったり、雨の後、気温が下がることで路面に氷が張ってしまいます。
そうなると氷の上を走る形となり、スリップする危険性が高くなります。
また雨が降っていなくても霜などが降り路面が凍ったり、トンネル内や日の当たらない場所であれば、いつまでも水が乾かず常に凍っている状態になっている場合もあるのです。
つまり凍った路面はそうでない路面に比べ、スリップする可能性が大幅に高くなるといえるでしょう。
ABSは車のスリップ対策として有効な装置ですが、凍った路面でのスリップはタイヤロックとはまた違った要因があり、ABSが正常に作動していてもスリップは起こってしまいます。
そして冬の道路状況に適しているタイヤがスタッドレスタイヤであり、スタッドレスタイヤは凍った路面上でのスリップ対策として有効です。
ではスタッドレスタイヤは、なぜ凍った路面でのスリップ対策として効果があるのかをご説明していきます。
スタッドレスタイヤは凍った路面に最適なタイヤ!
冬にスタッドレスタイヤを使用している方は多いと思いますが、スタッドレスタイヤは雪道や凍った路面でのスリップ対策として作られたタイヤです。
冬の路面状況において、ノーマルタイヤより何倍もスリップしづらく、凍った路面の上でも高いグリップ力を維持できるという特徴があります。
ノーマルタイヤとの違いは溝の形状とタイヤの柔らかさです。
細かな溝の多いスタッドレスタイヤでは、凍った路面の上にある微量な水をタイヤの外にはじき出し、柔らかいゴムによって路面との接着をよくしています。
この機能によって凍った路面でもスリップしづらく、冬でもノーマルタイヤより安全に走行できるのです。
しかしいくら高性能なスリップ対策を行っていたとしても、運転する人がスリップしないように心がけなければ意味がありません。
急発進やスピードを出しすぎるような運転は、急ブレーキをかける要因になり得ます。
いくらスリップ対策性能が高くても、それ以上の要因を作ってしまえばスリップは防げません。
そのため滑らかな発進、適切なスピードなどといった安全運転を心がけることで、スリップを防ぐことも大切なのです。
そして自分の住んでいる地域はそこまで寒くならないし、路面が凍ることもほとんどないからスタッドレスタイヤは必要ないと考える方もいると思います。
しかし住んでいる地域では不要でも、旅行などで寒い地域に行くこともあるでしょう。
その際、冬のスリップ対策をしていないためにスリップ事故を起こしてしまうといったことも考えられるため、できれば冬にはスタッドレスタイヤの使用がオススメです。
まとめ
ABSは車のスリップ対策として今では必要不可欠な装置です。
タイヤロックを防ぐことで、ブレーキ時の制動距離を短くし同時にスリップを防止しています。
また冬のスリップはタイヤロックとは別の要因があり、冬にはスタッドレスタイヤを使用することで、スリップを予防することができます。
しかしスリップを防止するために最も大切なのは、スリップしないための運転方法だといえるでしょう。
どれだけ車に使用されるスリップ対策装置の性能が高くても、運転が荒ければ意味がありません。
また近年作られている車では、ブレーキ技術や事故を起こさないための装置が多くあります。
今の車は古いためスリップする可能性が高く心配だという方は、そういった装置の有無などを確認し選んでみてはどうでしょうか。
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