新型軽EVが獲得!日本カーオブザイヤーは日産サクラ/三菱ekクロスEV

くるまのニュース

今年の日本カー・オブ・ザ・イヤーは、2022年12月8日夕方に最終選考会が行われ、選考結果が発表されました。最終選考に残った10ベストカーから選ばれた、今年の日本カー・オブ・ザ・イヤーは日産サクラ/三菱ekクロスEVです。

こちらでは、10ベストカーになった10台の特徴と、2022-2023日本カーオブザイヤーに選ばれた日産サクラ/三菱ekクロスEVについて、詳しく解説します。

2022日本カーオブザイヤーの10ベストカーとは

スズキ・アルト

日産サクラ・ekクロスEVと共に、最終選考まで残った軽自動車がスズキ・アルトです。スズキアルトは初代モデルが登場した1979年、「さわやかアルト」のキャッチコピーと、一台の車両価格が47万円という破格の価格設定であったことから、当時話題となった一台です。その後、幾度かフルモデルチェンジを行い、2021年12月に登場した9代目アルトが2022年日本カーオブザイヤーの10ベストカーに選出されました。

9代目アルトで高い評価得ているポイントは、狭い駐車スペースが多い日本の住環境において、特に車の条件が多くなる立体駐車場にも対応した全高1,525mmであるところと、最新の予防安全技術を搭載していながらAグレードの価格は943,800円に抑えられているコストパフォーマンスの高さとなっています。

トヨタ・クラウン

トヨタのクラウンは、1955年に初代モデルが登場してから、「いつかはクラウン」や「美しい日本のクラウン」、「ゼロクラウン」など数々の名キャッチコピーと共にモデルチェンジをしているトヨタを代表するモデルとなっています。

2022年にフルモデルチェンジした16代目クラウンが今回の10ベストカーに選出された一台です。16代目クラウンは、クロスオーバー、スポーツ、セダン、エステートのバリエーションタイプを予定しており、2022年秋にクロスオーバーモデルがトップをきって第一弾として登場しました。

セダンとSUVを融合させたパッケージでクロスオーバーモデルのクラウンは、今までのクラウンのイメージから大きく変わっています。今までのクラウンのイメージから、今回のクロスオーバーは大きくデザイン変更があったため、伝統を守りながらも変革を行った、トヨタの勇気ある決断に高い評価コメントが寄せられていました。

日産・エクストレイル

日産エクストレイルは、日本国内だけでなく海外でも人気の日産自動車が生産販売しているSUVです。2000年に初代モデルが登場してから、2007年、2013年、2022年とフルモデルチェンジを行っており、今回の10ベストカーに選出された4代目エクストレイルは2022年7月25日から発売を開始しました。

4代目エクストレイルの特徴は、すべてのグレードにおいてハイブリッドモデルとなったことです。エンジン型式KR15DDTの1.497Lのガソリンエンジンと電動モーターのハイブリッドにより、最も重量(1,880kg)のあるグレードのG e-4ORSE、Xe-4ORSEでも、燃料消費率はG e-4ORSEが18.4km/L、Xe-4ORSEが18.3km/Lとなっています。またVCターボ搭載のため、低排気量と低燃費でありながら力強い走りを可能としていることが、高い評価につながっています。

日産・フェアレディZ

日産のフェアレディZは、1969年発売開始からZ伝説といわれている人気の高いスポーツカーです。1969年12月の発売から6度のフルモデルチェンジを行い、今回のRZ34型は7代目モデルとなります。10ベストカーにも選出されている7代目フェアレディZは、発売開始後から多数の注文が入り、現在の世界情勢による物流の停滞など影響を受けていることから納期まで長期化しています。そのため、同時期に登場したアリアとともに、2022年12月現在は、一時的な注文受付の中止がされています。

7代目フェアレディZが高い評価を受けているポイントは、51年以上、同車名でドライバーが走りを楽しむことができるスポーツカーを貫いているという点です。また2022年に登場した7代目フェアレディZに搭載しているVR30DDTTエンジンのスペックは、最高出力が298kW(405PS)/6,400rpmとなっており、2019年モデルの最高出力247kW(336PS)7,000rpmと比べると、69PS(馬力)さらにパワフルになっていて、スポーツカーとしてさらに進化を続けていることがわかります。

ホンダ・シビックe:HEV/シビック タイプR

ホンダシビックe:HEV/シビックタイプRはフルモデルチェンジを行い、シビックe:HEVは2022年7月1日に、シビックタイプRは2022年9月2日に発売を開始しました。

シビックe:HEVは、シビックの爽快感のあるスポーツカーという一面と、e:HEVを搭載したハイブリッドモデルで低燃費という面も併せ持った車として、高い評価を得ていました。ホンダの電動化コア技術であるe:HEVは、高効率で低燃費な2モーターハイブリッドシステムとなっています。

このシビックe:HEVには2.0L直噴アトキンソンサイクルエンジンが搭載されていて、トランスミッションは電気式無段変速機(CVT)が採用されています。モーターによる優れた加速性能を、段階的に制御することが可能になっているため、ハイブリッドモデルでモーター走行時の静粛性とリズミカルな加速感により、爽快な走りを体験できる車になっています。

マツダ・CX-60 e-SKYACTIV D3.3

マツダのCX-60 e-SKYACTIV D3・3は、CX-60のハイブリッドモデルで、モーターとディーゼルエンジンの二つのパワートレーンを搭載しています。e-SKYACTIV D3.3エンジンのスペックは、187kW(254PS)3,750rpmで、最大トルクは550N・m(56.1kgf・m)1,500-2,400rpmとなっています。ディーゼルエンジンを採用することで、パワーと俊敏性が高くなり、加速時のレスポンスが良くなります。また、回転数を上げることで圧倒的な馬力を発揮することが出来るため、燃料消費率が悪くなるのではと思われるかもしれませんが、ハイブリッドモデルによりモーターが軽負荷領域においてサポートするため、WLTCモードにおいての燃料消費率は21.0-21.1km/Lとなっています。

マツダのCX-60 e-SKYACTIV D3・3が10ベストカーに先行された中で、高評価を得ていたポイントは、現代的な縦置き6気筒エンジンに後輪駆動のプラットフォームを採用していることで、ラージクラスのSUVではあるものの高い走行性能とパワフルな走りが可能になっているところとなっていました。

BMW・iX

BMW iXはパワートレーンは100%電気の電気自動車です。カタログによる一充電走行距離は650km(iX xDrive50の場合)で、急速充電を利用すると40分以内で10%台から全容量の約80%まで充電をすることが可能になっています。また、自宅等のAC充電による100%までの満充電にかかる時間は11時間以下となっており、帰宅から翌朝の出発までに充電をすることが可能になっています。

電気自動車の場合、大容量バッテリーを搭載するために車両重量が大きくなります。特に、航続可能距離を延ばすことに重きを置いて開発されることが多いため、さらに大きなバッテリーを搭載することを考えるメーカーが多い中、BMWでは、車両重量を軽くして必要な動力を減らすことで航続可能距離を延ばすことに取り組んだことが、今回の日本カーオブザイヤーでも高く評価がされていました。

ヒョンデ・IONIQ 5

ヒョンデは、韓国の自動車製造メーカー「現代自動車」のことです。ヒョンデは200年に一度日本市場から撤退していましたが、2022年2月に再参入を発表し、今回の10ベストカーに選出されたヒョンデ・IONIQ5が、同年5月から発売開始、7月から納車が始まりました。

電気自動車IONIQ5の特徴の一つが、1974年に発売されていた同社のデビューのために製作されたコンセプトカーのポニーをコンセプトに、オマージュしたモデルであるという点です。ヒョンデの初代ポニーとは、イタリアのインダストリアルデザイナーでイタルデザインの創始者として知られるジョルジェット・ジウジアーロがデザインしたコンセプトカーで、すでに存在はしていません。しかし、後にヒョンデより発売された車に影響を与えたポニーをコンセプトに、IONIQ5はデザインされていて、例えば「パラメトリックピクセル」と呼ばれるポニーから続く伝統的なデザインのヘッドライトが、IONIQ5のランプデザインに取り込まれています。

ランドローバー・レンジローバー

5代目新型レンジローバーの日本モデルは、2022年1月に登場しました。今回の新型モデルにおいて採用されたパワートレーンは、プラグインハイブリッドモデルと、マイルドハイブリッドモデルの2モデルとなっており、レンジローバーのEVモデルの導入は2024年を予定されています。

今回発売された新型モデルのなかでも特に人気の高いV8エンジン搭載モデルは、すでに3年分の生産予定台数の受注台数まで達しており、新規の注文受付に関しては3.0L直列6気筒エンジン搭載モデル、4.4LV8エンジン搭載のスタンダードロングホイールベースモデルのみとなっています。

人気が高く既に受注受付を3年分終了しているV8エンジン搭載モデルのスペックというと、P530スタンダードホイールベースグレードです。最高速度250km/h、最高出力390kW(530PS)5,500-6,000rpm、最大トルク750N・m、1,850-4,600rpmとなっています。グレードのP530は、530馬力を意味していて、4.4Lのツインターボ仕様車は高馬力かつ効率的なエンジンとなっているため、発売から1年を待たずに受注終了する人気となっていたようです。

ルノー・アルカナ

ルノー・アルカナは、フランスの自動車メーカーであるルノーが製造販売しているフルハイブリッドシステムを搭載したスポーツカーとSUVを融合したクロスオーバーです。

スポーツカーとしての一面はシャープなヘッドライトのデザインだけでなく、空気抵抗に対するアプローチとしてバンパーの下のF1ブレードが挙げられます。また、F1ブレードの奥、エアディフレクターによって、ホイールアーチへの空気抵抗を減少させることもできています。フロントからの流れるボンネットデザインもスポーティです。
また、走破性を高めるSUVのデザインとしては、大径インチのタイヤにより車高を高くし、視界を良好にしているという点がポイントになっています。

今回10ベストカーに選出されて、高評価されていたポイントは、フルハイブリッドシステムを搭載していることで燃料消費率22.8km/Lという低燃費を実現しているところとなっていました。外国産車は馬力があり、パワーが強い車が多い印象が高く、その分燃料消費率はどうしても低燃費を実現しづらい部分でしたが、ルノーのフルハイブリッドシステムにより、高いコストパフォーマンスを発揮しています。

日本カーオブザイヤー 日産サクラ/三菱ekクロスEV

第43回2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤーが、12月8日に発表されました。昨年までの全42回の日本カー・オブ・ザ・イヤーにおいて、実は最終選考には選出されたことがあったものの、実は軽自動車規格の車が選出されたことはありませんでした。今回初めて日本カー・オブ・ザ・イヤーに選ばれた日産サクラ/三菱ekクロスEVについて、詳しく解説します。

2022年6月に登場した新型軽EV

軽自動車規格(全長3.40m以下、全幅1.48m以下、全高2.00m以下、排気量0.66L以下)で、パワートレーンは100%電気となっている新型軽EVの日産サクラ/三菱ekクロスEVは、2022年5月20日に発表され、同年6月16日に販売を開始しました。

2019年に軽電気自動車のコンセプトカーとして登場したモデル「IMk」の公開から話題となっていた軽EVの量販車として日産サクラ/三菱ekクロスEVが2022年5月に発表され、発表から約3週間で日産自動車では受注数11,000台を突破するなど、大きな話題となりました。2022年6月現在までの新車販売台数の累計は、11月時点の速報で日産サクラが18,319台、三菱ekクロスEVが3,423台となっています。

日産による受注依頼者の購入層アンケート調査では、購入理由はセカンドカーとしてや、EV車に興味を持っているユーザーのガソリン車からの乗り換えとしてという方が多くなっており、年齢層では60代が最も多い結果となっていました。

NKMVが共同開発

日産サクラ/三菱ekクロスEVは、日産自動車と三菱自動車工業の共同出資による合弁会社NMKVが開発した新型軽EVです。これまでNKMVが製造開発してきた軽自動車というと、2019年の日産デイズ/三菱ekワゴンがあります。今回のサクラ/ekクロスEVは、両社のこれまでの電気自動車開発技術や生産力を活かし立ち上げられたプロジェクトとなっています。

日産サクラ/三菱ekクロスEVのスペック

日産サクラ/三菱ekクロスEVのスペックをご紹介します。まず、同車の満充電状態からの航続距離は、180km(WLTCモード)となっています。軽自動車利用者の一日当たりの走行距離は約50kmといわれているため、平均的な利用方法であれば2日間の走行ができるということになります。満充電にかかる時間は約8時間となっており、急速充電であれば約40分で10%から80%までの充電が可能です。現行モデルの電気自動車と比べると、航続距離が短いと思われるかもしれませんが、軽自動車の規格に収まるボディサイズに搭載されるバッテリー容量としては、十分な走行といえるのではないでしょうか。

購入時の補助金制度
日産サクラ/三菱ekクロスEVを購入するにあたり、環境性能が高く環境に配慮した車として補助金制度が導入されています。国の補助金制度により、同車を購入すると受け取ることができる補助金は、55万円です(CEV補助金)。また、自治体によっては国とは別に補助金制度を導入していて、例えば東京都の令和4年度の電気自動車等普及促進事業による補助金は、60万円となっています。

まとめ

今回は2022-2023の日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞車の日産サクラ/三菱ekクロスEVと、選出された10ベストカーについて、詳しくご紹介しました。
全43回で初めて軽自動車がカー・オブ・ザ・イヤーを受賞しました。電気自動車を購入するとなると、初期投資として車両自体が高額になることがネックとされている中、日産サクラ/三菱ekクロスEVは補助金利用により車両価格が200万円以下に抑えることが可能になっています(日産サクラXグレードの場合)。

温室効果ガス排出ゼロを目指す2050年カーボンニュートラル宣言に向けて、環境へ配慮された電気自動車への乗り換えが推奨されており、乗り換えの際に電気自動車に目を向けるドライバーも増えています。ネックであった購入価格が抑えられている点や、身近な軽自動車に選択肢が増えたことは、今後の自動車購入時の比較対象素材として、大きな影響があるのではないでしょうか。