奈良のやすらぎの道アンダーパスが開通!アンダーパスとはどんな道路?

くるまのニュース

奈良市にある都市計画道路六条奈良阪線の一部区間に、「やすらぎの道」という名前が付けられています。2022年6月12日に「やすらぎの道」が南に向かって延伸され、JR万葉まほろば線をくぐるアンダーパスを含んだ部分が開通しました。同日に開通式も行われています。

このJR線の下をくぐり抜ける作りの道路をアンダーパスといいます。こちらでは、全国各地にある「アンダーパス」の特徴や、「アンダーパスを通行する時の注意点」について解説します。

アンダーパスはどんな道路?

アンダーパスとは、立体交差で掘り下げ式になっている道路の名称で、主に都市部や市街地にあります。交差する鉄道や道路などの下をくぐり抜けて通過するため、周辺より低くなっていることが特徴の道路のことです。対義語はオーバーパスで、オーバーパスは高架上を通る周辺より高くなっている道路のことになります。

全国各地にアンダーパスはどのくらいあるのか

全国の市街地や都市部にアンダーパスはあります。特に市街地にもともとある鉄道や道路と交差する道路を後から作るため、今回の奈良市のように開通には時間を要すこともあります。アンダーパスは、国土交通省による令和3年3月末時点の統計で3,681箇所となっています。都道府県別で最もアンダーパス部が多かった埼玉県は、県内に255箇所ありました。

下記が、令和3年3月末時点でアンダーパスの箇所が多い都道府県とその箇所数です。

順位都道府県名アンダーパス箇所の数
1埼玉県255
2新潟県240
3愛知県179
4兵庫県178
5大阪府170

奈良市に開通したやすらぎの道の「アンダーパス」

2022年6月12日に奈良市内を走る、都市計画道路六条奈良阪線の一部区間であるやすらぎの道が延伸されました。JR奈良駅とJR京終駅間を走るJR万葉まほろば線の下をくぐり抜けて通行することが出来るアンダーパス部分の開通式も開通した同日に行われています。実は、やすらぎの道の延伸部分は今回で全線開通したわけではなく、今後も延伸部分の建設は続き、全体の完成予定は2027年3月になっています。

アンダーパス通行時の注意点は

市街地に多いといわれるアンダーパスは、自動車だけでなく自転車等も通る道路です。アンダーパスをくぐり抜けた向こう側の見通しが悪いことから、自動車同士だけでなく、自動車と軽車両や通行者との交通事故も起こりやすいといわれています。アンダーパスのように向こう側の見通しが悪い道路では、徐行をするなどスピードを落とした走行をするようにしましょう。

また、普段のアンダーパス走行時のスピード減速以外にも、通行時気を付けたいことがあります。それは、雨季など降水量が多い時期のアンダーパスの走行です。

降雨量が多いと冠水がおこりやすい道

アンダーパスは、雨季やゲリラ豪雨で降水量が多い時や、短時間の大雨などで冠水がおこりやすい道路です。アンダーパスは作りが水がめのようになり水が溜まりやすいため、降雨量次第で排水機能が追い付かず、冠水被害が起こってしまうのです。最近もあった短時間豪雨の時は排水が追い付かず、アンダーパス内に水が滞留してしまい冠水被害が起こりました。冠水被害がすでに発生している道路であっても、通行をしようとする自動車からは下り坂のため状況がわかりづらく、そのまま通行しようとして冠水部分に侵入してしまい、自動車が動けなくなってしまうといった事故も起こっています。

冠水で水深が30cmを超えると危険

アンダーパスで冠水被害が発生しすると、水深がすぐに30cm以上になってしまうことがあります。水深30cmを超えて冠水している場合、進入した自動車はマフラー等から水が入り、エンジンが動かないため、不動車になる可能性が高くなります。水深50cmを超えると車にかかる水圧が高くなり、例え自動車の鍵は開いていたとしても水圧によって、車の左右の扉(ドア)が開かず、閉じ込められてしまうことがあります。水深1mを超えると、水流に車が流されてしまい、さらなる二次被害が発生する可能性もあります。

冠水によりドアが開かない時の対処方法

水圧によって、左右のドアが開かない場合は、窓ガラスを割って脱出する方法をとらしかないかもしれません。車の窓ガラスは、万が一の事故の際に割れてしまっても乗員や外の通行人に怪我の被害が少なくなるよう、細かく割れるようになっています。窓ガラスを割って脱出する方法は、レスキューハンマー等を車載して万が一に備えるか、車のシートについているヘッドレストを取り外して、フロントガラスと扉の隙間にヘッドレストの柄の一本を差込んで力を加えると簡単に割ることが出来るようになっています。

まとめ

日本全国に3600箇所以上もあるアンダーパスについて、解説しました。近年、7月から8月の気温が高くなる時期に、都市部を中心にゲリラ豪雨が発生することがあります。特にアンダーパスの構造は都市部に多い傾向にありますので、ゲリラ豪雨など短時間で大量の雨が降ると冠水被害が発生する可能性も高くなります。前もって、お住いの地域にはアンダーパスのように冠水しやすい道路はないか、万が一の時に対処できる方法は社内にあるのか等をチェックしておくことをおすすめします。