日本は世界的に見ても安全な国ではありますが、それでも車を盗まれるといった事件は普通にあります。もし、車の盗難被害に遭ってしまうと車の安否も気になりますが、乗れない期間の自動車税も気になるところでしょう。
そこで、ここでは盗難被害に遭った車の廃車手続きについてご紹介いたします。
世の中、悪い奴もいるもんだ!
全くじゃな!
車が盗難被害にあったときやるべき事
盗難車の廃車手続きの方法に入る前に、まずは他にやるべき事があります。というのも、車の盗難は当然犯罪行為ですので、盗まれてしまった本人は盗難被害者という事です。
なので、車を盗まれてしまったら廃車手続きについて考える前に、先に警察に通報しましょう。
なお、警察に通報する事は、この後に説明する廃車手続きを進める上で必ず必要になる事ですので、変に気負わずにとりあえず110番に電話して状況を伝えましょう。
盗難車の廃車について
では、ここから盗難車の廃車についてご紹介していきましょう。
盗難車の廃車手続き可否
まず、前提として盗難されている状態でも、その車の廃車手続きは可能です。もちろん通常の廃車手続きとは異なる手順を踏む必要はありますが、車本体がその場に無くても廃車手続きを行うことは可能です。
なお、通常は廃車の際には車検証やナンバープレートなどが必要になりますが、これらの書類系は全て車に積載されているものですので、盗難されている状態ではこれらの書類の準備を行うことはできません。
しかし、「盗難」という特殊な条件下であれば、別の方法で廃車を行う事が可能となるのです。
廃車手続きは一時抹消登録のみ可能
廃車には車をスクラップにする永久抹消登録と、一旦その車の所有者情報を抹消する一時抹消登録との2種類があります。ですが、この盗難車に関しては、車の解体を行う事が条件である永久抹消登録は出来ませんので、必然的に選択肢は一時抹消登録のみに絞られてしまうのです。
車を盗難されてしまった場合は、さっさとその存在を忘れたいと思われる方もいるかも知れませんが、残念ながら一旦は一時抹消登録を行い、車が見つかってから永久抹消登録に切り替える必要があるのです。
ただし、盗難などではなく水害等で海に流されてしまったなど回収不可能と判断された場合は、永久抹消登録も可能となります。
ちなみに、この一時抹消登録を行う事で自動車税の課税義務を保留してもらう事ができます。税金面でお金が無駄になるのを阻止することが可能になります。
ただし、自賠責保険や任意保険に関しては会社判断による裁量が大きいので、一旦保険会社に相談してみないと盗難中の保険料については判断は難しいでしょう。
廃車手続きの方法
それでは、ここからは実践編。実際に車が盗難中という状態での廃車手続きの進め方についてご紹介していきましょう。
STEP1:受理番号の取得
冒頭でもご紹介しましたが、車を盗まれた場合は必ず警察に連絡する必要があります。これは、犯罪が起こった事、被害にあった事に対しての通報という意味合いもあるのですが、その後に廃車手続きを行う上でも必要になる事だったのです。車を盗難されている状態では、廃車手続きに必要な車検証やナンバープレートの用意はできなくなります。
その場合には、それが盗難など何らかの理由による事態である事を証明する必要があるのですが、その理由が本当である事の証明も必要になるのです。そして、その証明に必要になるのが受理番号と呼ばれる番号で、この番号は警察から発行される番号となるのです。なので、盗難車の廃車手続きには、まず警察に通報して受理番号を取得することから始めましょう。
STEP2:理由書の作成
STEP1で入手した受理番号ですが、これはその番号を取得しただけではなく、ある書類に記載して提出することで初めて効力を発揮します。その書類は理由書と呼ばれるもので、廃車手続きの際に車検証とナンバープレートの提出ができない理由(盗難にあった事)と受理番号の両方を記入して提出する事になります。
STEP3:残りの書類を持って提出
受理番号の記入が済んだ理由書の準備が整いましたら、あとは残りの書類を持って廃車申請の手続きに向かいましょう。もし、盗難にあった車が普通自動車であれば、手続きの場所は運輸支局となり、以下の書類を持っていきましょう。
- 受理番号付き理由書
- 印鑑登録証明書
- リサイクル券
- 実印
対して、盗まれた車が軽自動車だった場合は、手続きを行う場所は軽自動車検査協会となり、必要書類は以下の通りです。
- 受理番号付き理由書
- リサイクル券
- 認印
リサイクル券が車両と一緒になっているため手元に無い場合
リサイクル券の保管場所は特に指定はございませんが、車内に保管されている場合は原本の用意が難しいでしょう。その場合は、リサイクルシステムというHPから車の情報を入力して検索する事で、リサイクル券の情報が表示されますので、そのページをプリントアウトして持参すれば原本がなくても手続き可能です。
まとめ
車が盗難にあった場合の廃車方法となります。通常の廃車よりも少し手間は増えてしまいますが、そこまで難しい内容ではありませんので、基本的にわからなくなって詰まってしまうことはないでしょう。
このケースで負担になることは、車本体の処分が伴わない手続きとなりますので、廃車買取業者への依頼ができず、ご自身で運輸支局もしくは軽自動車検査協会に行く必要があるということです。運輸支局等の事務局は、平日の夕方までの開局時間と決まっているため、お仕事を休む等をしなくてはいけないという方もいらっしゃるでしょう。どうしてもご自身で行くことが難しい場合は、有料で行政書士に依頼するなどの方法を考える必要があります(この場合は委任状を別途用意する必要があります)。
なお、一時抹消登録後に車が見つかり、その車を処分したい場合は再度永久抹消登録の手続きを行う必要がありますが、この場合は車の引き渡しが伴いますので、廃車買取業者に車体の廃車と手続きの代行を合わせて依頼することができます。
盗難被害にあってしまったら、まずは警察へ連絡し盗難被害届を提出すること、そして使用できない車に対して課税義務が発生しないように、一時的な廃車手続きをするという一連の流れを万が一のために覚えておくと安心でしょう。